「エンジニアとして一歩上のレベルを目指すために、基礎から学び直したい」そう感じたことはありませんか?
コンピュータサイエンス(CS)は、私たちが日常的に触れるソフトウェアやハードウェアの根底を支える技術です。本記事では、コンピュータサイエンス全体の学ぶ順序とそれぞれの分野のおすすめの参考書を紹介します。
理論・アルゴリズム・モデリング領域
コンピュータを「効率的」かつ「正確」に動かすための知恵が集まる領域です。
離散数学
整数やグラフなど、連続しない値を扱う数学。コンピュータの論理回路やアルゴリズムの基礎となる「思考の言語」です。

アルゴリズムとデータ構造
データをどう並べ、どう処理すれば最速で答えが出るか。計算効率を最大化するためのパターンの宝庫です。

計算理論とオートマトン
「コンピュータで何が計算可能か」という限界を探る学問。正規表現やコンパイラの設計にも深く関わります。

プログラミング言語論
プログラミング言語がどう解釈され、実行されるか。型システムや意味論など、言語そのものを設計・理解するための理論です。

システム・アーキテクチャ領域
「計算機」という物理的な実体と、その上で動く基本ソフトウェアの仕組みを扱う領域です。
コンピュータアーキテクチャ
CPU、メモリ、I/Oがどう組み合わされ、計算機として成立しているか。ハードウェアの性能を極限まで引き出すための設計学です。

オペレーティングシステム
ハードウェアとアプリケーションを仲介する司令塔。プロセス管理やメモリ管理など、コンピュータの「秩序」を司ります。

ディジタル回路
0と1の電気信号で論理を組み立てる基礎技術。すべての計算機が物理的に成立するための根源です。

ソフトウェア工学
複雑なシステムをバグなく、効率的に作り上げるための手法。設計思想やテスト手法など「開発の作法」を学びます。

並列処理
複数のCPUやコンピュータを連携させ、膨大な計算を同時にこなす技術。大規模データ処理やスパコンの必須知識です。

メディア知能・人間領域
自然言語処理
人間が話す言葉をコンピュータに理解・生成させる技術。LLM(大規模言語モデル)の台頭で今最も注目されている分野です。

コンピュータグラフィックス・コンピュータビジョン
コンピュータで画像を作り出し、また画像から世界の状態を読み取る「目」の技術。自動運転やARの基盤です。

音声・音響処理
音の波をデジタル化し、解析・合成する技術。ノイズキャンセリングや音声認識などの基盤技術を扱います。

ヒューマンコンピュータインタラクション
人とコンピュータがどう接すれば使いやすいか。UI/UXの背後にある、人間中心の設計思想を探求します。

ネットワーク・情報セキュリティ
コンピュータ同士を安全に繋ぎ、社会の「インフラ」として機能させるための領域です。
コンピュータネットワーク
データを世界中に届けるための通信プロトコルと経路制御の仕組み。インターネットが動くためのルールを学びます。

セキュリティ
サイバー攻撃から情報資産を守る技術。暗号化、認証、脆弱性対策など、信頼を守るための盾となります。

データベース
膨大なデータを整理し、高速に検索・保存するための仕組み。現代のあらゆるサービスの裏側を支える「情報の倉庫」です。

分散システム
複数のコンピュータがネットワーク越しに協調して動く仕組み。クラウドサービスやブロックチェーンの動作原理です。

学習する順番
概要を学ぶ
コンピュータサイエンス全体を浅く広く見ることで、興味がある分野を見つけて、そこから深掘りをするのがいいと思います。概要でおすすめの書籍を以下で紹介しています。

以下に各分野で学ぶ順番を書いています。
理論・基礎
まずは、コンピュータがどのように物事を「論理的」に捉えているかを知ることから始めます。
- 離散数学→アルゴリズムとデータ構造
を最初に学ぶのがいいと思います。
ここで、基礎的なところを学んでおくと、計算理論とオートマトン、プログラミング言語論などで展開される数式の理解がしやすいです。
ハードウェア・ソフトウェアシステム
論理を「物理的な電気信号」としてどう実現しているかを学びます。その後に実際にコンピュータが実際にどのように構成されているのかを学ぶと理解しやすいです。
- ディジタル回路→コンピュータアーキテクチャ
の順番で学ぶのがいいと思います。
また、コンピュータアーキテクチャとオペレーティングシステムは同時に学んでもいいと思います。OSの機構を実現するためのハードウェアなどの話もあったり、この分野は密接に関わり合っているので同時に学ぶと理解しやすいです。
組込みソフトウェアは、上記の分野が複合的に組み合わさった分野になるため、上記の概要を理解した上で取り掛かるのがいいと思います。
ネットワーク・情報セキュリティ
1台のコンピュータを超えて、世界と繋がる仕組みを学びます。
- コンピュータネットワーク → データベース → セキュリティ
の順番で学ぶのがいいと思います。
メディア知能・人間領域
ここは応用的な分野になるため、好きな領域から学んでいけばいいです。
画像処理やCGなどをしたければ、画像関連から、自然言語処理を学びたければ自然言語処理から始めるのがいいと思います。
まとめ
本記事では、コンピュータサイエンスを4つの領域に整理し、ロードマップ、おすすめの参考書を紹介しました。
昨今のAIブームやハードウェアの高度化により、単なるコーディングスキルだけでなく、背後にある「原理原則」を理解しているエンジニアの価値はかつてないほど高まっています。

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