マイコンを使った電子工作やIoT開発を始めたいと思っても、「どのマイコンを選べばいいの?」と悩む人は多いです。
特に現在は低価格かつ高性能な開発ボードが急速に増えており、初心者には選択肢が多すぎて逆に分かりにくい状況です。
本記事では Arduino / ESP32 / STM32 / Raspberry Pi Pico / Raspberry Pi(フル版) を中心に、
ホビー用途・学習用途・職業エンジニア用途でどう選べば良いのかを「初心者目線」で徹底解説します。
マイコンとシングルボードコンピュータ(SBC)の違い
マイコン(Microcontroller)
1チップに
- CPU
- RAM
- フラッシュ
各種周辺機能(GPIO, PWM, ADC, I2C, SPI)を内蔵したものが一般的にマイコンと呼ばれます。
特徴としては、
- OSなしで動作(素早い起動・低消費電力)
- 制御処理に強い(PWM、割り込み、リアルタイム性)
- センサー制御・モーター制御向け
があります。
代表的なものとして、 Arduino / ESP32 / STM32 / Raspberry Pi Picoなどがあります。
シングルボードコンピュータ(SBC)
通常のPCとほぼ同じで、OS(Linuxなど)で動作することが基本的になります。
特徴として、
- マルチタスクが可能
- ネットワークやカメラなどの高機能処理が得意
- 消費電力が大きい
- 起動に数秒〜数十秒かかる
代表的なものがRaspberry Pi 4 / Raspberry Pi 5などです。
比較対象となる5つのボードの概要
Arduino Uno / Nano(ホビー向け王道)
- マイコン:ATmega328P
- クロック:16MHz
- RAM:2KB
- 特徴:安定・シンプル・世界最大のコミュニティ
メリット
- とにかく簡単で、電子工作デビューに最適
- 情報量が圧倒的に多い
- 教育・ホビーで実績多数
デメリット
- 計算性能が弱い
- 無線通信がない
ESP32(Wi-Fi/Bluetooth内蔵、コスパ最強)
- マイコン:Tensilica LX6(デュアルコア)
- クロック:240MHz
- RAM:520KB
- Wi-Fi/BLE搭載
メリット:
- 無線通信内蔵でIoTに最強
- 圧倒的なコストパフォーマンス
- 処理性能が高い(Arduinoの数十倍~百倍)
デメリット:
- 周辺機能が多く初心者は少し戸惑う
- 電源設計がシビアな場合がある
STM32シリーズ(実務でも使われるマイコン)
- Cortex-M0/M3/M4/M7 など幅広いラインナップ
- 業務レベルの速度・信頼性
- STMicroelectronics の産業用マイコン
メリット:
- 職業エンジニアが最も使用しているマイコン
- Timer / ADC / DMA / CAN / USB など業務レベルの機能
- 高性能モデルは Arduino/ESP32より上
デメリット:
- 初心者には難しい(データシート読み込み必須)
- 開発環境の設定が複雑(CubeIDE / HAL / LL)
Raspberry Pi Pico(RP2040マイコン搭載)
- RP2040(デュアルコア Cortex-M0+)
- クロック:133MHz
- RAM:264KB
- 価格が安い(約600円)
メリット:
- MicroPython対応で初心者でも扱いやすい
- デュアルコアでコスパが非常に良い
- PIO(Programmable I/O)が強力(独自の高速IO制御)
デメリット:
- 無線通信が標準で無い(Wモデルを買えばOK)
- 電子工作初心者にはArduinoほど情報が多くない
Raspberry Pi 4/5(Linux向けSBC)
- Linuxが動作する「小型PC」
- カメラ処理 / 画像認識 / Webサーバ が可能
メリット
- Pythonで開発できる
- AI / 映像処理 / IoTゲートウェイに最強
- USB・HDMI・LANなどPC並の拡張性
デメリット:
- 制御用途にはオーバースペック
- 起動時間が長い
- 消費電力が大きい
比較表
| ボード | 対象 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| Arduino Uno | ホビー・教育 | シンプル・情報量最大 | 性能が低い |
| ESP32 | IoT系ホビー・簡易プロ製作 | Wi-Fi/BLE内蔵・高性能・安い | 機能が多く難しい |
| STM32 | 職業エンジニア・中級者 | 業務レベルの機能・高速 | 初心者には難解 |
| Raspberry Pi Pico | 学習者・ホビー・Python勢 | コスパ最強・MicroPython◎ | 無線なし(W版で補完) |
| Raspberry Pi 4/5 | AI/画像処理/PC用途 | Linux・Pythonでできること無限 | 制御向きではない |
用途別「どれを選ぶべきか?」
ホビーで電子工作を始めたい → Arduino Uno / Nano
- とにかく簡単でトラブルが少ない
- LED点滅・モーター制御・センサー実験に最適
- 教育用途として完成されている
「電子工作を気軽に楽しみたい」
→ Arduinoで間違いないです
IoTを学びたい/ネットにつなぎたい → ESP32 一択
- Wi-Fi / Bluetooth が標準搭載
- クラウド連携がとても簡単(AWS, Firebase など)
- 値段が1,000円台と激安
温度計をスマホで確認するIoTデバイスを作りたい、
スマートホーム系を作りたい、
という人は ESP32が最適。
組込みエンジニアになりたい → STM32
- 業務(FA機器、家電、医療、車載)で使われるマイコンで勉強できる
- HAL/LL ドライバやRTOSなど実務技術が身につく
- データシートを読む癖がつく
組み込みエンジニアの就職を目指すなら
Arduino/ESP32 → STM32 の順で学習するのがおすすめです。
Pythonで学習したい → Raspberry Pi Pico(MicroPython)
- Pythonの文法そのまま使える
- 機能も十分
- 値段が安く失敗しても怖くない
学校教育でも採用が増えており、将来性もある。
画像処理 / AI / 高度なIoT → Raspberry Pi 4/5
理由:
- Linuxが動くためできることが桁違い
- カメラでの画像認識、音声認識、Webアプリなど可能
ただし、
- 電子工作の「制御(PWM/ADC)」には不向き
- 起動が遅い
という性質を理解して使う必要がある。
まとめ:用途で選べば失敗しない
| 用途 | 最適なマイコン |
|---|---|
| 電子工作入門 | Arduino |
| IoT | ESP32 |
| 職業エンジニア | STM32 |
| Pythonで学びたい | Raspberry Pi Pico |
| AI/画像処理 | Raspberry Pi 4/5 |
初心者は「どのマイコンが最強か」ではなく、
自分の目的に合っているものが最強 です。
迷ったら ArduinoまたはESP32 から始めればまず間違いありません。
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