ディジタルフィルタ FIRフィルタとIIRフィルタの線形差分方程式による表現

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線形差分方程式

一般のディジタルフィルタの入出力関係を表すN次差分方程式の一般形は次式で与えられます。

$$y[n] = -\sum_{k=1}^N a_k y[n-k] + \sum_{k=0}^N b_k x[n-k] \tag{1}$$

ただし、\(n < 0\)に対しては、\(x[n] = y[n] = 0\)とする。

上のy[n]式は、ディジタルフィルタの現時点の出力\(y[n]\)が、現在と過去の入力値\(x[n], x[n-1], …, x[n-N]\)と過去の出力値\(y[n-1], y[n-2], …, y[n-N]\)との線型結合によって、計算されることがわかります。

ここで、\(N\)をディジタルフィルタの次数といいます。ディジタルフィルタの特性は\(a_k, b_k\)によって決定されます。差分方程式の係数は一般的に複素数ですが、ディジタルフィルタの文脈においては実数値として与えられます。

再帰形(IIRフィルタ)

上の式(1)において、\(N=1\)のときを考えます。このとき、次式で表されます

$$y[n] = – a_1 y[n-1] + b_0 x[n] + b_1 x[n-1]$$

この式から、\(a_k \neq 0\)のとき、出力\(y[n]\)は過去の出力値を用いて、現在の出力が決定されていることがわかります。このようなディジタルフィルタを再帰形フィルタと呼びます。出力をフィードバックさせる形式のフィルタです。一般には、インパルス応答長が無限に長くなることから、IIR形とも呼ばれます。

非再帰形(FIRフィルタ)

すべての\(k\)に対して、\(a_k = 0\)のとき次式になります。

$$y[n] = \sum_{k=0}^N b_k x[n-k]$$

この式から出力を求めるために、過去の出力を使用する必要がないことがないことがわかります。このようなディジタルフィルタを非再帰形フィルタと呼びます。

また、この式はインパルス応答の畳み込み計算と等しいこともわかります。

$$y[n] = \sum_{k=0}^N h[k] x[n-k]$$

フィードバックのループがなく、インパルス応答長は有限となるので、FIR形とも呼ばれます。

非再帰形と再帰形、IIRとFIRはそれぞれ同じ意味を表していますが、着目している点が異なります。非再帰形と再帰形は、出力フィードバックのループがあるかどうかに着目していますが、FIRとIIRは、インパルス応答長が有限か無限かという点に着目しているということに注意しましょう。

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